スーパーの果物売り場に並んでいるメロンは、前を通れば甘い香りを感じるほどに熟している事が多いです。
これは、店頭に陳列している間に熟したからです。
本来、メロンは適切な収穫時期と食べ頃時期が異なっており、当農園のメロンも例外ではありません。
当然ながら追熟しなければ本来の美味しさを引き出せませんので、その方法をこのページで解説いたします。
メロンの保存・追熟は常温が基本です。冷蔵庫に入れるのは「食べる数時間前」だけです。
冷蔵しても食べ頃を先延ばしにはできませんし、時間を掛けた分だけ良く熟すなんて事もありません。

メロンは細胞維持の為に糖を消費する一方、酵素の働きは抑制されるため、完熟した時点での「甘み」「旨み」は体感として低くなると思います(俗に言う「甘みが抜けた」状態です)。
しかも厄介な事に、熟すより先に傷みが先行する恐れも高まります。
繰り返しますが冷蔵保存は禁止です。
ただし!
十分に熟したものの食べきれなかった場合は、過度な発酵を防ぐ為に冷蔵が必要です。
切ったものであれば、種を除いてラップを切り口にピッタリと密着させ、野菜室に保存します(汁タレ注意)。
それでも長期保存はできませんので、早めに食べ切ってください。
追熟に要する時間ですが、当農園栽培の品種はおおむね収穫から5日ぐらいからが目安です。
当農園は食べ頃カードを必ず同封しておりますので、まずご確認ください。
環境は適度に涼しい日かげが好ましく、夏である事を考慮してもできれば気温30度未満、25度ぐらいであればベストです。

そして風通しの良い場所であることが重要です。

ただし、エアコンの冷風が常時当たるような場所は避けてください(扇風機はOK)。
お盆時ですし、仏壇脇に飾るというのはいかがでしょうか?
追熟行程は通常、何もしなくても問題は起こらないのですが、やはり個体によっては特別な対処が必要になる場合もあります。
わずかに果汁が出ている
良くご連絡いただくのが「お尻にヒビが入って、汁が出ている」という症状です。
これは基本的には心配いりません。
「熟れれば果皮が崩れ、果肉が外気に触れ、鳥や獣を呼び、食べられる事で種子を運ばせ、繁栄する。」
実を結ぶ植物では至極当然な成り行きです。
まずはご自宅の畳や床を汚さぬ様、ヒビの入ったメロンをトレーなどに乗せ替えてください。
以降の追熟はこのトレーの上で進めます。
糖度の高い果汁は「カビ」と「虫」を呼びますので、固く絞ったタオル等で適度にふき取り、清潔に保ちましょう。

当農園でよく使う裏ワザは「粘着テープを傷口に貼り付けてしまう」という方法です。
残り数日だけ傷を密閉し耐えてもらうという作戦です。
使うときに「ビビビィッ!」と音がするぐらい粘着力のあるテープならば、植物性ワックスで覆われたメロン果実にもくっ付きます。
(ちなみに…メロン生産者は、ヒビのないメロンはわざわざ食べません。 基本食べ飽きている為、ヒビが入るほど果汁が押し込まれた果実でないと食べる気が起きないのです。贅沢ですね。)
ツルにカビ状のものが出ている
次に多いお問い合わせが“カビ”です。
梅雨時に多く、ツルに濃灰褐色のカビが生えてきた等、ご連絡をいただくことがあります。

葉や花や芽や実といった「機能部位」がツル先にない、つまり切りっぱなしの状態になったツルは、免疫力がほぼ無くなります。
果実から見てツルは不要な部位ですから、本体から「見捨てられ」たツル部分はカビに無防備となり、繁殖の温床となるのでしょう。
ツルを切り落としても他の方法で熟度を判断し完熟までたどり着く事は可能です。
また、果皮のカビについても、ぶよぶよに傷んでいる場合を除き、大半の方から「可食部に問題なし」とのご連絡を頂いております。
(敏感肌やアレルギー体質の方は慎重にご判断ください)
褐変し潤み異臭が出ている
極少数ですが、必ず毎年ご報告いただきます。
残念ですが「見えない不良果だった」という事になります。
栽培過程では異常がなく出荷時も問題ないものの、お届け先で急激に傷みが進行し腐敗に至ります。
召し上がる事はせず、廃棄すべき個体です。
当農園のメロンであれば速やかにご連絡ください。誠意を持って誠実に対応させていただきます。

熟度が分からない
追熟に伴う変化が見られない意外に多いのが「5日以上経ったが見た目も匂いも変化が無い」というご連絡です。
考えられる原因は二つあります。
すなわち「熟すまでが長い個体だった」か、「熟しても変化を見せない個体だった」かです。
前者はどちらかというと大きい果実に起こりやすいようです。
時間が掛かるだけで、行程としては正常に進行するはずです。
このタイプは食べ頃期間も長い傾向があるように思います。
一応“当たり”と解釈してOKでしょう。
やっかいなのが後者です。
割ってみるまで分からないのに、割るタイミングも分からないという困りモノです。
箱に複数のメロンが入っているならば、明らかに変化が遅い個体も他と同時に熟しているはずと仮定し、割ってみるのも手です。

粘りすぎて過熟にしてしまわない様、くれぐれもご注意ください。
割るのが早すぎた落として割ってしまった、良いと思って切ったらまだ硬かった、こういった場合は追熟を諦め、調理して食べる方法を考えたほうが良いでしょう。
大きく割れた
メロンは内圧が大きく、割れ目を手で閉じようとしてもまず無理です。
一か八かで追熟を続行する手もありますが、大きな傷口にカビが生え、下手をすると傷みで1玉まるごとダメになる恐れがあります。
冷蔵庫に入れたくなりますが、冷気は傷みを抑えると同時に追熟も抑制してしまうため、長期に渡って冷蔵庫の邪魔になるだけでしょう。
ハチミツ漬けにしたりフルーツジュースの材料にする等、主役を他の食材に譲ってメロン風味だけ味わう事としましょう。
薄くスライスすれば硬くても食べられますし、逆に採りたてのサクサク食感が好きという方も多いです。
割るのが遅すぎた
割るのが遅すぎた過熟については残念ながら発生後に打てる対処法はありません。
どちらかというと、食べるスケジュールを決めておく等の「計画的消費」で過熟を防ぐという考え方が有効です。
敢えて食べ頃目安日より前から食べ始め、追熟具合にアタリを付けておき、時が来たと思ったら一気に食べ、残ったらさっさと冷蔵・冷凍あるいは調理、と進むのが良いでしょう。
または・・・メロンブランデーにして、いっそ過熟を楽しむという開き直り?もご一考ください。

日付はあくまで目安ですので、最終判定はメロンを手にした方自身が行います。
最高の状態で「味わう」ために、五感をフル活用して見定めてください。
見る<信頼度70%>
ツルがやつれ、茶色く変色し乾いている様に見えれば、追熟は順調でしょう。
ただし、太いツルだと食べ頃になっても萎れて来ない事があるので要注意です。

果皮の地(緑色の部分)は、ほんの少しですが色が薄くなってきます。
嗅ぐ<信頼度40%>
メロン特有の甘い香りが、果実の表面から感じられれば良い感じです。
ただし、過熟まで進んでしまっても良い香りは出続けますのでご注意ください。
また、食べ頃でも香りを出さない固体もあります。

触る<信頼度50%>
収穫直後のメロンに触れた場合、皮の厚みのおかげでソフトボールのような微かな弾力が果実全体から感じるはずです。 しかし基本的にはリンゴや和梨のような「引き締まった固さ」です。
底部が柔らかく、十分な弾力を感じられれば食べ頃が近いです。
指が差さる程ブヨブヨな場合は過熟にしてしまったかもしれません。
また、固いままでも可食部はホロホロ完熟というケースもあるようです。
程ほどの目安にしておきましょう。
聞く<信頼度30%>
軽く叩き、「トットッ」「ポッポッ」という柔らかい反響音がすれば食べ頃です。
「タッタッ」「コッコッ」という音は、まだまだ繊維質がガッシリしている証です。
(シャクシャク食感の方が好みであれば食べても良いでしょう)

正直、音の差は微妙です。あまり当てにしない方が無難かもしれません。